| 陣陣新寒入布裘 偶乗小酔得閑遊 丹楓落日野橋晩 |
| 断雁湿雲江路秋 馬得一鳴何恨斥 金経百練豈容柔 |
| 不知千載塵埃里 更有吾曹強項不 |
| 【読み】 |
| 陣陣たる新寒布裘(ふきゅう)に入る 偶(たまたま)小酔に乗じて |
| 閑遊を得たり 丹楓落日野橋の晩(くれ) 断雁湿雲江路の秋 |
| 馬一鳴を得て何ぞ斥(しりぞ)くを恨まん 金経百練豈(あ)に |
| 柔を容(い)れんや 知らず 千載の塵埃の里(うち) 更に吾曹 |
| (ごそう)の強項(きょうこう)あるやいなや |
| 【意味】 |
| 寒さが感じられる季節。風が盛んに吹いて皮ごろもの中へ |
| 入って来る。たまたまほろ酔い気分でのんびりと散歩に出かけ |
| た。真っ赤に紅葉した楓が入日に映えて、野のはずれの木橋 |
| あたりは暮れていく。列を離れた一羽の雁が湿った雲を背景 |
| に飛んでいき、川沿いの路はいま秋景色。馬が一声鳴くのを |
| 聞いて どうして退けられたのを恨むことがあろう。 仏教の |
| 経典は何回学んでも どうして柔らかくなることがあろうか。 |
| (教えや信念は堅固で変わることが無いという意味か?) |
| 千年の時が流れても、汚れたこの世の中に強情な我らのような |
| 者たちが、まだいるかどうかわからない。 |
| *陣陣…風が盛んに吹くさま *布裘…皮ころも。皮のコート。 |
| *断雁…群れからはなれた雁 *吾曹…我ら。われわれ。 |
| *金経百練…仏教の経典で何回も修行を積むこと。 |
| *強項…首が硬直して自由に動かせないこと。(強情と訳した) |
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| ※五句、八句 難解です。再考の余地あり |
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| 【出典:醉题埭西酒家二首 其一(陸游・南宋)】 |