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| 竹陰松陰玉蔥蘢 十里平堤一径通 碧水忽開新鏡面 |
| 青山都是好屏風 寒蝉高鳥清愁外 折葦枯荷小景中 |
| 酒力未多秋興逸 夕陽聊貸半林紅 |
| 【読み】 |
| 竹陰 松陰 玉蔥蘢(そうろう) 十里平堤 一径 通ず 碧水 忽ち開く |
| 新鏡面 青山 都て是 好屏風 寒蝉(かんせん)高鳥 清愁の外 |
| 酒力 未だ多からざるに秋興 逸(いつ)に 夕陽 聊か貸す半林の紅 |
| 【意味】 |
| 竹の小かげや松の影が美しく茂って見え、十里も続く平らな堤に |
| 一筋の道が通っている。湖水の青々とした水面はみがきたての |
| 鏡のように眼前に開け、周囲の山々は青く、まるで美しい屏風 |
| を廻らしたかのよう。ひぐらしの鳴く声を聞き、空高く舞い上がる |
| 鳥を見ていると寂しくて憂鬱な気持ちが去り、折れ曲がったあし |
| や枯れたはすの風景はちょっとした風景画の中にいるようだ。 |
| 酒の勢いがまだまわらないのに秋の感興が湧きおこって気ままに |
| 楽しんでいる。夕日が林の半分を照らし、そこだけが赤く見えて |
| いる。 |
| *蔥蘢…青く茂るさま *清愁…さみしく憂鬱な気持ち *寒蝉…ひぐらし |
| *折葦…折れ曲がった葦 *小景…ちょっとしたながめ、風景画 |
| *秋興…秋に感じて興がわくこと *逸…きままに楽しむ |
| *聊…ほんの少し。わずか。 *半林…林の半分 |
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| 【出典:北潭(史粛・金)】 |
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