| 檐竹蕭蕭雨建瓴 無由復此對床聽 燈花影落空棋局 |
| 墨汁香消冷研屛 春水池塘新舊草 東風楊柳短長亭 |
| 傷心一段交期夢 又被寒江鶴喚醒 |
| 【読み】 |
| 檐竹(えんちく)蕭蕭として雨 建瓴(けんれい)たり。復 此れ |
| 床に対して聽くに由無(よしな)し。灯火 影を落として棋局 |
| 空し。墨汁 香(こう)消えて研屛(けんへい)冷ややかなり。 |
| 春水池塘 新舊の草 。東風楊柳短長亭(たんちょうてい)。 |
| 傷心一段として交ごも夢に期す。また寒江の鶴 呼び醒ま |
| せらる。 |
| 【意味】 |
| 軒下の竹がもの寂しく揺れ、雨が強く降っている。また君 |
| と二人床に横になってこれを聽くすべもない。灯花は影を |
| 落として碁盤だけがぽつんとある。墨汁の香りは消えて衝 |
| 立が冷ややかに感じられる。春の水の満ちた池の堤には |
| 新旧の草が色とりどりに美しく、春風をうけて柳は五里十 |
| 里に設けられた宿場でなよなよと揺れている。心は一段と |
| 傷み時おり(君のことを)夢に見る。寒い冬の川にすくっと |
| 立っている孤高の鶴のような君をまた呼び戻すことができ |
| たら・・・ |
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| *建瓴…勢いが強いこと *燈花…灯火の灯心の燃えカスが花 |
| の形になったもの *研屛…硯のそばに立てる衝立 |
| *短長亭…短亭(五里)長亭(十里)ごとにおかれたはたごや |
| 【出典】 哭榮竹方 徳祥(とくしょう)元末明初 |