| 屑瑟秋風送客装 蕭条木落更神傷 満天欲雪尊無酒 |
| 昨夜初寒雁叫霜 馬足遠衝黄葉路 吟聲徐入白鷗郷 |
| 江南景物閑情甚 烟雨秦淮夢里長 |
| 【読み】 |
| 屑瑟(せつしつ)として、秋風 客装を送り、蕭条(しょうじょう) |
| として木落ち更に神(しん)を傷ましむ。満天 雪ならんと欲し |
| 尊(たる)に酒なし。昨夜 初めて寒く、雁 霜に叫び、馬足遠く |
| 衝く黄葉の路。徐(おもむろ)に入る白鷗の郷(さと)。江南の |
| 景物 閑情 甚だ しく、烟雨の秦淮(しんわい)夢里長し。 |
| 【意味】 |
| 秋風がもの寂しく旅人の衣に吹いて、木の葉も落ちて心が傷む。 |
| 空一面が雪になろうとする寒さの中、私の家の樽には酒がない。 |
| 昨夜寒くなったころ雁が霜に向かって叫び鳴いている。長く続 |
| く黄色い落ち葉の路を馬が通っていく。詩を吟じながら。白 |
| い鷗が群がり戯れているあたりを歩く。江南の風景を見て、 |
| すっかり心静かな気持ちになり、秦淮に煙るように雨が降る中、 |
| (作者である)私は夢の中。 |
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| *屑瑟・蕭条…秋風がもの寂しく吹くようす *神…こころ |
| *尊…樽 *烟雨…煙るように降る雨 *秦淮…江南地方の地名 |
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| 出典:送友人還金陵(友人の金陵に還るを送る(清・禾) |
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